ICレコーダのタイマー録音のデータなど膨大な録音データから,効率的にその日のさえずりの状況を聞き取るための最適な聞き取り時刻の検討を行なった.北海道から高知県にかけて9地点の音源の日の出20分前から1時間後までの聞き取りを行なった.その結果,日の出4分前から6分後までの10分間に最も多くの鳥がさえずっており,その時間帯に記録率の低かったアオバト Treron sieboldii,イカル Eophona personata,センダイムシクイ Phylloscopus coronatus は遅い時間帯になって記録率が高くなることがわかった.また,初認日の夏鳥は,日の出前後の時間帯よりも遅い時間帯によく鳴くことがわかった.したがって日の出前後の時間帯と日の出からある程度たった時間帯の両方を聞き取るのが,録音データから鳥のさえずり状況を把握するためには良い手法と考えられた.