2013 年 53 巻 5 号 p. 362-366
症例は下肢遠位部の異常感覚,筋力低下と運動失調で発症したHIV感染者の47歳男性である.電気生理学的には末梢神経近位側優位に脱髄所見をみとめ,慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の病態であった.CD4陽性リンパ球数は466/μlと比較的保たれていたが,より早期(CD4陽性リンパ球数:350~500/μl)の治療開始を推奨するガイドラインにしたがい多剤併用療法(HAART)を施行したところ,症状および神経伝導検査所見に著明な改善がみられた.HIV関連CIDPの治療として免疫療法が有効とされているが,早期のHAART導入も本症の長期予後を改善させる可能性が示唆された.