2013 年 53 巻 9 号 p. 695-700
症例は51歳女性である.脳幹脳炎で発症し,その後両下肢の軽度筋力低下と四肢遠位部の異常感覚が出現し,抗アクアポリン4抗体陽性が判明した.プレドニゾロン内服にて安定していたが,当地への移住を契機に当科に紹介された.顔面の毛細血管拡張と皮膚硬化をみとめたが,肺・腎に合併症はなく,限局皮膚硬化型全身性強皮症(lcSSc)とシェーグレン症候群による乾燥症状をみとめた.MRIでは胸髄に長大病変をみとめneuromyelitis optica spectrum disorde(NMOSD)と診断した.NMOSDにおいてlcSScの合併例はまれであり,今後両者の合併にも留意すべきである.