2013 年 53 巻 10 号 p. 831-834
症例は66歳男性である.約3週間で,動作緩慢・意欲低下・歩行障害が進行し,見当識障害・尿失禁がみられるようになった.頭部単純MRIでは脳室拡大をみとめ,髄液検査では,単核球優位の細胞数増加,蛋白上昇,糖低下をみとめた.頭部造影MRIでは,脳室周囲・脈絡叢の造影効果をみとめた.髄液ADAが高値を示したことから,結核性髄膜炎がうたがわれたが,最終的には髄液フローサイトメトリーによるリンパ球表面マーカーの解析,遺伝子検査および脳生検から中枢神経原発悪性リンパ腫と診断した.脳室炎と類似した画像所見から発見された中枢神経原発悪性リンパ腫は報告が少なく,鑑別疾患として重要と思われたため報告する.