2014 年 54 巻 12 号 p. 1151-1154
ALSの病理学的指標であるTDP-43病理の形成メカニズムは未解明であり,引き金になるTDP-43の易凝集性断片形成に関与するプロテアーゼやその活性化メカニズムに関する合理的な説明はなかった.われわれは,孤発性ALSのもう一つの疾患特異的分子変化である,RNA編集酵素ADAR2の発現低下を再現するALSの分子病態モデルマウスの解析から,異常なCa2+透過性AMPA受容体発現を介したカルパインの活性化が,凝集性の高いTDP-43断片を形成することを明らかにした.この分子カスケードに通じるメカニズムは,孤発性ALSのみならず他の神経疾患に観察されるTDP-43病理形成にも当て嵌まることが強く示唆されたので概説する.