日本薬理学雑誌
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総説
脂肪酸受容体の生理機能と創薬標的としての可能性
原 貴史平澤 明市村 敦彦木村 郁夫辻本 豪三
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2012 年 140 巻 6 号 p. 275-279

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抄録

近年,脂肪酸をリガンドとするGタンパク質共役型受容体(GPCR)群が同定され,脂肪酸の栄養物質としての役割に加えて,シグナル伝達因子としての働きにも注目が集まっている.これまでの報告から,脂肪酸受容体の生体内における様々な生理機能が明らかとなってきた.脂肪酸受容体ファミリーとして,短鎖脂肪酸によって活性化されるGPR41,GPR43,中鎖脂肪酸によって活性化されるGPR40,GPR84,長鎖脂肪酸によって活性化されるGPR120が知られており,それぞれについて組織発現分布,シグナル伝達経路,特異的化合物による薬理学的解析および遺伝子改変動物を用いた生理学的な機能解析が行われている.生体内の脂肪酸センサーとして脂肪酸受容体の役割が明らかとなりつつあり,疾患メカニズムとの関わりや創薬標的としての有用性の観点から広範な研究が展開されている.本報では,我々の研究グループによる脂肪酸受容体の研究を最近の知見を含めて紹介する.

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© 2012 公益社団法人 日本薬理学会
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