日本薬理学雑誌
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特集 治療標的の発掘をめざしたシナプス形成メカニズムの探求
『自閉症マウスモデルを使った創薬』 シナプスをターゲットとした創薬―自閉症マウスモデルを例にとって―
櫻井 武
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2013 年 142 巻 3 号 p. 116-121

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抄録

シナプスは様々な精神疾患に関与する薬の主要な作用点である.近年のヒトゲノム解析からシナプスの様々な分子をコードする遺伝子の変異が精神疾患の発症に関与することが明らかになってきた.自閉症もそういった疾患の一つで,自閉症はシナプスの異常で引き起こされる病態,シナプソパチーであるという概念も提唱されている.シナプスを標的とした創薬が自閉症に対しても試みられているが,ヒトゲノム解析に裏付けられたコンストラクトバリディティーを持つマウスモデルを利用してシナプスを標的とした創薬を進めるに際して,いくつか考えておくべきことがあるのではないだろうか.自閉症に関与していることがヒトゲノムの解析から明らかとなっているシナプス裏打ち分子の一つであるShank3の研究を例にとって私見を述べる.

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© 2013 公益社団法人 日本薬理学会
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