日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
パネルディスカッション1:フィールド医学からみた地域在住高齢者の健康
3.抑うつスクリーニングとAdvance Care Planningの適用可能性
和田 泰三
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2013 年 50 巻 3 号 p. 319-322

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抄録

地域在住高齢者の健康を抑うつスクリーニングとAdvance Care Planning(事前ケア計画)の2つの視点からとらえた.
Geriatric Depression Scale(GDS-15)は高齢者抑うつ評価に広く用いられているが,抑うつの有無1項目だけでもスクリーニングには有効である.国内外の地域在住者において,抑うつ傾向のあるものは日常生活動作,老研式活動能力指標,および主観的QOLがそれぞれ有意に低いことがあきらかとなった.Advance Care Planning(ACP)とは意志決定能力のある患者の人生観や死生観,好み,考え方などを医療チームと家族が理解・確認し共有していくプロセスのことをいう.その対話の結果,リビング・ウィルや医療代理人の指定といったことにつながることもあるが,その目的は将来必ず訪れる終末期をその人らしく,よりよいものにするための準備作業である.日本文化にあった事前ケア計画の実践では,家族間での対話がもっとも重視されるべきであろう.

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© 2013 一般社団法人 日本老年医学会
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