本稿では,メキシコ合衆国,通称メキシコの統計制度を概観した後,その中枢にある国立統計地理情報院のWebサイトで公開されている統計情報とその他の機関のセクター別統計情報を紹介する。
メキシコの統計行政の系譜は16世紀のスペイン植民地時代まで遡り,メキシコ初の人口センサスは,スペインから独立(1821年)後,1831年に実施された。
現行制度で,メキシコの統計行政の中枢にある国立統計地理情報院(Instituto Nacional de Estadística y Geografía: INEGI)は,統計総局(La Dirección General de Estadísitica:1882年に商務・工業振興省に設置された部局)と地理総局(La Dirección General de Geografía:1968年に大統領府に設置された部局)を含む連邦政府注1)の省庁の4つの部局を整理統合し,国家の統計業務と国土の測地や地図作成などの国土地理業務を実施する機関として1983年に大統領令により発足した。
INEGIは,1985年よりその本部をアグアスカリエンテス州に置き,6つの地域ブロックの統括総局,その下に連邦直轄区(メキシコシティ)を含む32の州調整局を配置して,統計・国土地理行政をつかさどっている。
ところで,メキシコの統計機構は分散型に近く,INEGIが中枢機関として各種センサス,事業所企業統計調査,家計調査等を実施する一方で,連邦政府の省庁,公社,金融機関,地方自治体,業界団体などの諸機関が,それぞれ独自に統計を作成し,公表してきた。
このような状況の中で,2008年4月に連邦政府の国家統計地理情報システム法が公布され,他の政府機関から自律的な立場で統計・国土地理行政をつかさどる独立行政法人のINEGIが,国家統計地理情報システム全体の調整・統括を行うことが定められた。この法律の施行後,メキシコでは,統計情報のINEGIによる一元管理が徐々に進んでいる。この動きから,メキシコの統計機構が,従来の分散型から集中型へと移行していると解釈することが可能である。
なお,同法第59条では,メキシコの公式統計作成の中で,各種センサスの実施,国民経済計算の統括,消費者物価指数・生産者物価指数の作成は,INEGIの独占業務に指定されている。
2.2 国家統計地理情報システム国家統計地理情報システムは,ビセンテ・フォックス政権期(2000年~2006年)にその創設構想が提案され,フェリぺ・カルデロン政権期(2006年~2012年)に,先述の国家統計地理情報システム法を根拠法令として始動した比較的新しい制度である。
システム創設の目的は,メキシコ国家全体で統計・地理情報の体系的管理と標準化を促進することにあった。
図1のとおり,国家統計地理情報システムは,人口・社会,経済,地理・環境,政府・公安・司法という4つのサブシステムで構成される。各サブシステムに属するメキシコ国家の諸機関は,作成した情報をINEGIの要求に応じて,所定の形式で速やかに提出すると同時にINEGIが管理する目録に登録することが義務付けられている。
INEGIと国家の諸機関は,各機関のコーディネーター,各サブシステムの執行委員会,専門技術委員会,および国家諮問審議会を通じて,連絡調整を図りながら,統計作成・国土地理事業を実施している。
国家諮問審議会は,INEGIの長官,連邦政府の各省庁の大臣,司法府の代表,立法府の上院・下院の各代表,地方自治体(州政府・連邦直轄区)の5名の代表,およびメキシコ中央銀行(Banco de México)の代表で構成され,国家統計地理情報システムの戦略的プロジェクトや新規計画等について審議し,その結果を連邦政府に答申する役割を担っている。
近年,INEGIの電子化が著しく進展し,これまで冊子体やCD-ROMで刊行されていた調査結果の多くがWebページ上での電子版の公表に切り替えられている。
さらに,過去の統計情報の遡及的な電子化も進められており,統計データバンクの整備と公開,過去の統計資料の電子ブック化,マイクロデータの公開など,電子情報の拡充が多角的に進められている。
3.1 英語版最新統計情報INEGIは,基本的に,Webサイト情報をスペイン語で公開しているが,最新統計データについては英語でも公表している。INEGIのWebサイトのトップページ中央に公開されているスペイン語版México en cifrasの右上に表示されている“English”を選択するとMexico in figuresに切り替わり,英語版にアクセスできる。
経済,環境,人口・世帯・住居,社会・政府,医療,雇用・産業,文化,人間開発・社会開発分野の各種統計データを全国レベル,州レベル,市町村レベルの3つのレベルから,アクセスし,エクセル形式でダウンロードすることができる(英語・スペイン語)(http://www.inegi.org.mx/)。
3.2 経済情報バンクINEGIが提供するデータバンクの中で最も重要なのは,経済情報バンク(Banco de Información Económica: BIE)である。
BIEは各種センサス,家計調査,事業所統計,国民経済計算システム注2),各行政機関が行政行為をする際に付随的に得られるデータ等を統合したデータバンクである。対象テーマは表1のとおりであり,20万件以上のデータシリーズの中から取捨選択し,Excel形式やCSV形式でダウンロードすることができる。
テーマ | サブテーマ数 注1) | シリーズ数 注2) |
---|---|---|
最新経済指標 | 26 | 4,226 |
職業・雇用・賃金 | 9 | 3,889 |
国民経済計算 | 14 | 35,009 |
鉱業 | 4 | 368 |
製造業 | 7 | 50,433 |
エネルギー | 9 | 1,753 |
建設(月間アンケート調査) | 9 | 3,185 |
商業(月間アンケート調査) | 20 | 624 |
サービス(月間アンケート調査) | 2 | 120 |
通信・交通 | 24 | 210 |
対外関係(外国投資,貿易,国際収支等) | 20 | 5,776 |
物価・インフレ | 5 | 2,338 |
金融・株式市場 | 2 | 4,090 |
財政 | 18 | 1,182 |
国際関係指標 | 36 | 670 |
過去の統計データシリーズ | 24 | 133,698 |
合計 | 229 | 247,571 |
注1)サブテーマは,各テーマの下位概念。例えばテーマ「対外関係」には「国際収支」,「公共セクターの対外債務],[各セクターの輸出入額」,「海外送金」,「海外直接投資」などに関するサブテーマが含まれる。
注2)シリーズは具体的な統計データ系列を意味し,統計データの入手はシリーズレベルで行う。
抽出期間の選択,複数のデータシリーズの組み合わせ,データのグラフ化などの機能も備わっているが,データシリーズにより利用可能な機能,対象期間が異なる(スペイン語)(http://www.inegi.org.mx/sistemas/bie/)。
3.3 過去の調査結果の電子化先述のとおり,INEGIの主要調査結果の電子版がWebサイト上で公開され,全文の閲覧・ダウンロードができるようになっている。具体的なアクセス方法は,INEGIのトップページ上部の「Estadística」(統計)のタブを選び,表示されたメニューから「Fuente/Proyecto」(情報源/プロジェクト)を選択すると,調査テーマごとに電子化された調査結果が表示される。以下に主要なものを紹介したい。
(1) 人口・住宅センサス(国勢調査)メキシコの人口・住宅センサス(Censo General de la Población y Vivienda)は,1895年に第1回が実施された後,1900年から今年まで10年に一度,1920年に代わる1921年の実施を除いては西暦の末尾が0の年に実施されてきた。
1990年代以降は,急速な社会人口学的変化に対応するために,センサスよりも簡易なアンケート調査を情報源とする人口・住宅調査(Conteo de Población y Vivienda)が中間センサスとして実施されるようになった。INEGIは,表2のとおり,すべてのセンサスと中間センサスの調査結果を電子化し,Web上で公開している。
実施年 | センサス(Censo)と 中間センサス(Conteo)の実施回数 |
Webでの公開 |
---|---|---|
1895 | 第1回センサス | ○ |
1900 | 第2回センサス | ○ |
1910 | 第3回センサス | ○ |
1921 | 第4回センサス | ○ |
1930 | 第5回センサス | ○ |
1940 | 第6回センサス | ○ |
1950 | 第7回センサス | ○ |
1960 | 第8回センサス | ○ |
1970 | 第9回センサス | ○ |
1980 | 第10回センサス | ○ |
1990 | 第11回センサス | ○ |
1995 | 中間センサス第1回 | ○ |
2000 | 第12回センサス | ○ |
2005 | 中間センサス第2回 | ○ |
2010 | 第13回センサス | ○ |
INEGIのWebページ情報より筆者作成
人口・住宅センサスからは,年齢,性別,居住場所(州(estado),市町村(municipalidad),居住地区(localidad))の別でみた人口規模・分布や,民族,言語,宗教,教育,労働,社会保障,失業,貧困,住宅,国内移動,移住など,テーマ別にみた人口の特徴について情報が得られる注3)。
なお,直近に実施された第13回人口・住宅センサス(2010年5月31日から8月25日に実施)の調査結果は,出版物としてしては刊行されず,すべてWebページ上で公開されている(スペイン語)(http://www.inegi.org.mx/est/contenidos/Proyectos/ccpv/default.aspx)。
(2) 農林畜産業センサスメキシコでは,第1回農牧業センサスが1930年に実施され,その後1935年と1940年にエヒード(農民の共有農地)に対象を絞ったセンサス(Censo ejidal)が実施された。初期にエヒードの調査が頻繁に実施された背景には,メキシコ革命注4)後,農地改革が国家事業として掲げられたため,政府が調査により農地改革の進捗状況を把握する必要があったと考えられる。
表3の通り,メキシコの農林畜産業センサスは原則10年に1度実施されてきたが,近年,実施年が不規則になっている。直近では2007年に農業生産者,牧畜業生産者,林業生産者,およびエヒードを対象とする包括的なセンサスが実施された。このセンサスを通して,メキシコの農林畜産業に関するマイクロデータ(各事業者と共同農地の生産形態,生産物,収穫量,収穫高,収穫面積,従業員数等の情報を含む)からその産業構造に関するマクロ情報まで,包括的な統計情報を得ることができる。
実施年 | 農林畜産業センサス注) (エヒードを除く) |
エヒードセンサス (農民の共有農地) |
Webでの公開 |
---|---|---|---|
1930 | 第1回 | - | × |
1935 | - | 第1回 | × |
1940 | 第2回 | 第2回 | × |
1950 | 第3回 | 第3回 | × |
1960 | 第4回 | 第4回 | × |
1970 | 第5回 | 第5回 | × |
1981 | 第6回 | 第6回 | × |
1991 | 第7回 | 第7回 | ○ |
2001 | - | 第8回 | ○ |
2007 | 第8回 | 第9回 | ○ |
注)農林畜産業センサスは,実施年により林業が含まれる場合と対象外の場合がある。
INEGIのWebページ情報より筆者作成
現在INEGIのWeb上で公開されているのは,2007年農林畜産業センサス(Censo Agrícola, Ganadero y Ferestal)および1991年,2001年,2007年エヒードセンサス(Censo Ejidal),1991年農牧業センサス(Censo Agrícola-Ganadero)である(スペイン語)(http://www.inegi.org.mx/est/contenidos/proyectos/agro/default.aspx)。
(3) 経済センサス経済センサスは事業所および企業の経済活動の状態を明らかにし,国家の包括的な産業構造を明らかにするために必須の調査である。
表4のとおり,メキシコでは1930年に実施された第1回工業センサスが第1回経済センサスにあたる。以降経済センサスは5年に1度実施されてきたが,実施年によって,調査対象となるセクターが異なっている。
実施年 | 工業 | 商業 | サービス | 交通 | 漁業 | 水道 | Webでの公開 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1930 | 第1回(製造業のみ実施) | - | - | - | - | - | × |
1935 | 第2回(以降,鉱業を含む) | - | - | - | - | - | × |
1940 | 第3回 | 第1回 | 第1回 | 第1回 | - | - | × |
1945 | 第4回 | 第2回 | 第2回 | 第2回 | - | - | × |
1951 | 第5回 | - | - | 第3回 | - | - | × |
1956 | 第6回 | 第3回 | 第3回(金融を除く) | 第4回 | - | - | × |
1961 | 第7回 | 第4回 | 第4回 | 第5回 | - | - | × |
1966 | 第8回 | 第5回 | 第5回 | 第6回 | - | - | × |
1971 | 第9回 | 第6回 | 第6回 | 第7回 | - | - | × |
1976 | 第10回 | 第7回 | 第7回 | 第8回(以降,通信を含む) | - | - | × |
1981 | 第11回 | 第8回 | 第8回 | 第9回 | 第1回 | - | × |
1986 | 第12回 | 第9回 | 第9回 | 第10回 | 第2回(結果は未刊行) | - | × |
1989 | 第13回 | 第10回 | 第10回 | 第11回 | 第3回 | - | ○ |
1994 | 第14回 | 第11回 | 第11回 | 第12回 | - | - | ○ |
1999 | 第15回 | 第12回 | 第12回 | 第13回 | 第4回 | 第1回 | ○ |
2004 | 第16回 | 第13回 | 第13回 | 第14回 | 第5回 | 第2回 | ○ |
2009 | 第17回 | 第14回 | 第14回 | 第15回 | 第6回 | 第3回 | ○ |
注)工業センサスに建設業が含まれるのは,第7回,第11回,第12回,第13回,第15回,第16回
INEGIのWebページ情報より筆者作成
現在INEGIのWebサイト上で公開されている経済センサス(Censos Económicos)は1989年,1994年,1999年,2004年,2009年の調査結果である(スペイン語)(http://www.inegi.org.mx/est/contenidos/Proyectos/ce/Default.aspx)。
(4) 総合統計年鑑この他,「メキシコ合衆国統計年鑑」(Anuario Estadístico de Estados los Unidos Mexicanos)が,初号にあたる1938年から最新版の2012年まですべて電子化されWebサイト上で公開されている。年次を指定し,PDFまたはExcelフォーマットで,全文をダウンロードすることができる。
対象分野は,地理・環境,人口,住宅・都市インフラ,教育,科学技術,文化・余暇・スポーツ,医療・社会保障,治安・公安,労働,賃金,家計,経済活動,農林水産業,鉱工業,商業,観光,交通,通信,金融指標,パブリックセクター,国際貿易と多岐にわたる。
INEGIトップページ左スロットに表示されている「Anuario Estadístico de los Estados Unidos Mexicanos」をクリックするとアクセスできる(スペイン語)(http://www.inegi.org.mx/sistemas/productos/default.aspx?c=265&s=inegi&upc=702825004083&pf=Prod&ef=&f=2&cl=0&tg=8&pg=0)。
ここからは,INEGI以外の機関のWebサイトで公開されているセクター別の統計情報を紹介する。下記の機関が提供する統計情報は,既述の国家統計地理情報システム法に基づき,INEGIに報告されている。しかし,現状では,INEGIが提供する膨大で階層化された統計情報の中から必要なデータを探すのは,時間を要し,不便な場合がある。
以下に紹介するサイトは,特定分野に特化し,必要なデータを探しやすい,INEGIより詳しいデータが公開されている,データの公開がINEGIより早い,英語版が充実しているなどの利点がある。目的に応じた利用をお勧めしたい。
4.1 金融/メキシコ中央銀行メキシコ中央銀行(Banco de México)のWebサイトには,金融,貨幣,インフレ,銀行決済システム等に関する各種統計情報は公開されている。英語とスペイン語のどちらでもアクセス可能である。
刊行物コーナーでは「Annual reports」「Monetary policy programs」「Monetary policy implementation reports」「Quaterly inflation reports」「Regional economic reports」などの英文レポートがスペイン語版と同時にWebサイト上に公開される。
なお,メキシコ中央銀行は,1925年に創設され,メキシコの国民経済計算システムの創成期にあたる1950年代から1970年代初頭にかけて,その制度設計において中心的な役割を果たしていた。
メキシコは,ちょうどこの同時期に「メキシコの奇跡」と呼ばれる,安定的な高度経済成長を遂げた。メキシコの国民経済計算システムの礎は,高度経済成長期に,メキシコ中央銀行の経済学者が国際連合の専門家の技術協力を受けながら築いたものである。
先述のとおり,現行制度の国民経済計算システムの統括は,INEGIの管轄に変わっているが,金融・貨幣政策に関連する統計情報の基準は,メキシコ中央銀行が決定している(英語・スペイン語)(http://www.banxico.org.mx/)。
4.2 財政/大蔵公債省大蔵公債省(Secretaría de Hacienda y Crédito Público: SHCP)は,メキシコ国家の財政政策を担う省であり,そのWebサイトでは,連邦政府の財政統計(歳入,歳出,予算書,決算書),金融(公債)統計など,国家財政に関わる詳細なデータを提供している。また,各地方自治体(メキシコシティと31の州政府)の公会計に関する統計情報についても同サイトのリンク集からアクセスできる。
SHCPの主要情報はスペイン語で公開されているが,連邦政府の財政統計については英訳されPublic Financial Statisticsとして公開され,連邦政府,国営企業,社会保障に関する財政統計データが提供されている(スペイン語・一部英語)(http://www.shcp.gob.mx/)。
4.3 貿易・投資/経済省 (1) 貿易統計経済省のWebサイトで公開している貿易統計は,経済省(Secretaría de Economía: SE)がメキシコ銀行の公式データを用いて構築したデータバンクであり,正式名称を通関統計(英語名Statistical Tarrif Information,スペイン語名Información Estadística Arancelaria)という。このデータバンクでは,世界全体または貿易相手国を選定し,国際収支(年ベース,月ベース),主要輸入品目,主要輸出品目について1993年以降の統計データにアクセスできる。
英語版も整備されているので,メキシコの国際収支,対外貿易等について調査する場合は,このWebサイトの活用が便利である(英語版:http://www.economia.gob.mx/trade-and-investment/foreign-trade)(スペイン語版:http://www.economia.gob.mx/comunidad-negocios/comercio-exterior/informacion-estadistica-y-arancelaria)。
(2) 海外直接投資の実績SEは,海外直接投資の統計情報も提供している。これは外国投資法に基づき,外国企業が同省外国投資局に登録した海外直接投資を集計し,公式統計として公開しているものである。統計は,1980年から1998までと1999年以降の2つの期間に分けて公開されている。理由は,1999年に海外直接投資の定義が改定され,両期間の公開データに継続性がないことによる。1999年以降,国別対墨直接投資額,セクター別投資額,対墨投資を行う外国企業数(国別,メキシコの州別分布)等に関するより詳細な統計データが公開されている。
同じWebページ上には,国家海外投資委員会(Comisión Nacional de Inversións Extranjeras)がメキシコの連邦議会に四半期ごとに提出する「メキシコにおける海外直接投資の動向に関する統計情報」(Informe estadístico sobre el comportamiento de la IED en México)も公開されており,2009年から2012年まで閲覧できる。なお,海外直接投資実績の統計情報は英語版が未整備のため,情報はスペイン語に限られる(スペイン語・一部英語)(http://www.economia.gob.mx/comunidad-negocios/competitividad-normatividad/inversion-extranjera-directa)経済省(http://www.economia.gob.mx/)。
(3) 投資環境情報他方,メキシコの投資環境に関する外国企業向けの統計情報をSEの下部機関である貿易投資振興機関ProMéxicoが提供している。
ProMéxicoのWebページでは,メキシコを5つの地域ブロックに分け,各地域ブロック,各州の人口,労働力,経済,競争力ランキング,生産性,投資インセンティブに関する統計データを二次加工して簡便にまとめ,統計指標セレクション(スペイン語:selección de indicadores/英語:indicators selection)として英語とスペイン語の両方で提供している。メキシコ国内の地域間の投資環境の比較が簡単にできる点が便利である(http://mim.promexico.gob.mx/wb/mim/seleccion_de_indicadores)(スペイン語・英語)ProMéxico(http://www.promexico.gob.mx/en_mx/promexico/Empresario_Extranjero)。
4.4 エネルギー/エネルギー省エネルギー省(Secretaría de Energía: SENER)は,メキシコのエネルギー統計と電力統計をスペイン語と英語の両方で公開している。
SENERが提供するエネルギー情報システム(Sistema de Información Energética: SIE)(http://sie.energia.gob.mx)は,メキシコのエネルギー需給バランス,石油・天然ガス,電気,石炭,再生エネルギー,エネルギー効率等に関する統計情報を提供している。
電力統計ではタイプ別発電能力,タイプ別発電量,電力発電による燃料消費,電気料金等,メキシコの電力についての詳しいデータを入手することができる(スペイン語・英語)(http://www.sener.gob.mx/)。
4.5 石油・天然ガス/メキシコ石油公社メキシコ石油公社(Petróleos Mexicanos: PEMEX)は産油国であるメキシコの国営石油企業である。石油・天然ガスの探査,生産,精製,国内販売,対外貿易に関するデータが公開されている。石油・天然ガスに特化した調査をする場合はこのWebサイトが便利である(スペイン語・英語)(http://www.pemex.com/)。
4.6 上場企業/メキシコ証券取引所メキシコ証券取引所(Bolsa Mexicana de Valores: BMV)のWebサイトには,メキシコの上場企業の株価,株価指数,相場など,メキシコの証券市場に関するカレントなデータとヒストリカルデータが公開されている。
同サイトには,メキシコの証券市場に上場している企業情報も「上場企業」(英語版:Issuers Companies/スペイン語版:Empresas Emisoras)で公開されている。上場企業をアルファベット順に掲載し,各企業の基本情報に加えて,財務報告書,有価証券報告書等を公開している。企業を,上場商品別,セクター別,業種別に抽出することもできる。この企業情報はメキシコの企業調査をする上で極めて重要な情報源となっている(スペイン語・英語)(http://www.bmv.com.mx/)。
4.7 自動車・オートバイ/メキシコ自動車工業会メキシコは,古くより外資系自動車メーカーの北米向け輸出の生産拠点となってきた歴史的経緯があり,近年は日系メーカーの進出が顕著である。メキシコ自動車工業会(Asociación Mexicana de la Industria Automotriz: AMIA)は,メキシコ進出完成車メーカーで構成される業界団体で,1951年に結成された。AMIAのWebサイトでは,自動車,オートバイの生産,販売,輸出に関する月別データが公開されている。各メーカーの生産・販売データが毎月更新され,速報性が高い。なお,さらに詳細な車種ごとの生産・販売統計や,ヒストリカルデータについては,有料販売している。(スペイン語)(http://www.amia.com.mx/)
近年,統計情報の流通・発信は,国際的にも電子媒体が主流になってきている。この世界的潮流の中で,メキシコは,統計情報の電子化を急速に進めてきた。今後のメキシコの課題は,統計情報のアクセシビリティの向上,英語版統計情報の整備,加えて網羅的な電子化の推進と提供にあると考える。
アジア経済研究所図書館は,メキシコ政府がインターネット上では公開していない,貴重な統計資料を包括的に所蔵している。ぜひ,こちらも併せて活用していただきたい。