感染症や食中毒研究の原点は,様々な事例の解析にある。事例を学ぶことで,発症メカニズムの解明や予防対策の確立などが期待できる。ここでは,最近世間を騒がせた1)北海道での白菜浅漬による腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli, EHEC)O157食中毒事例,2)富山県を中心に発生したユッケによるEHEC O111/O157食中毒事例,3)西日本で多発したヒラメの喫食に伴う寄生虫性食中毒,4)鳥取県での真空パック食品によるボツリヌス食中毒事例およびこれらの事例から得られた知見を紹介する。