日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
炎症性腹部大動脈瘤のグルココルチコイド治療中に発症したhuman herpesvirus-6脳炎の一例
矢島 秀教山本 元久田邊谷 徹也鈴木 知佐子五十嵐 哲祥松井 美琴子苗代 康可高橋 裕樹篠村 恭久
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2014 年 37 巻 2 号 p. 96-100

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抄録

  症例は73歳男性.腹部炎症性大動脈瘤に対してグルココルチコイド内服治療中に全身倦怠感と発熱を認めた.当科入院後に施行した胸部CT検査所見より感染性肺炎として治療中,先行する短期記憶障害に続いて痙攣を伴う意識障害が出現した.頭部MRI検査を施行したところFluid Attenuated Inversion Recovery画像及び拡散強調画像にて両側大脳辺縁系に高信号を認めた.単純ヘルペス脳炎を疑いアシクロビルを開始したが,意識障害は改善しなかった.追加検査にて髄液よりhuman herpes virus(HHV)-6 DNAが検出されたため,HHV-6脳炎と診断した.ガンシクロビル投与を開始したところ,意識障害及びMRI画像所見は改善した.HHV-6脳炎にはガンシクロビルが有効であり,免疫抑制療法中に原因不明の脳炎を見た場合,HHV-6脳炎を鑑別におくべきであると思われた.

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© 2014 日本臨床免疫学会
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