2013 年 110 巻 7 号 p. 1214-1224
小腸腫瘍はまれな疾患であり,悪性腫瘍に限れば全消化管の1~2%を占めるに過ぎない.これまでの検査体系では,高度の症状が出現するか進行した悪性疾患以外は発見困難であった.しかし,近年のカプセル内視鏡,バルーン内視鏡の普及により,無症候の良性腫瘍や早期の悪性腫瘍ならびに従来は診断に難渋した稀少疾患の診断が可能となってきている.今後,これらのモダリティーによる症例が蓄積され,小腸腫瘍に関する新たな知見が続々ともたらされるであろう.将来的には小腸腫瘍に対する的確な診断手順が確立されることが望まれる.現時点ではその途上にあるが,本稿では,小腸腫瘍の疫学,各種検査,カプセル内視鏡やバルーン内視鏡によって診断された腫瘍の組織型別頻度やその特徴について現状を解説した.