2014 年 111 巻 6 号 p. 1071-1078
機能性ディスペプシア(functional dyspepsia;FD)は,つらいと感じる食後のもたれ感,早期飽満感,心窩部痛および心窩部灼熱感といった慢性の上腹部症状があるにもかかわらず器質的疾患を認めない症候群である.その病態の1つとして消化管運動異常の関与が指摘されている.これまで消化管運動機能異常と症状発現の関係について精力的に検討がなされているが,未解決の部分が大きい.最近,消化管運動機能を改善する新たな薬剤としてコリンエステラーゼ阻害作用をもつアコチアミドがFDに対する治療薬として保険収載され,今後さらにFDの病態解明が進むとともに薬剤開発が進むことが期待される.