2014 年 111 巻 1 号 p. 35-41
肥満の増加によって,メタボリックシンドロームの肝臓での表現型とされる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が増加している.NASH/NAFLDの治療は,NASHの発症機序と,合併する糖尿病,脂質異常症,高血圧症を標的とした治療法が試みられている.NASH/NAFLDの治療は過体重に起因するインスリン抵抗性の是正を目的とした食事・運動療法が主体であるが,生活習慣の改善のみで効果が不十分な時には薬剤が選択される.しかしながら十分なエビデンスを有する薬物療法は確立していない.予後に関しては心血管系障害およびNASHからの肝細胞癌の発癌が問題となっている.