本稿では膵・胆管合流異常の疫学と臨床的特徴に関して,日本膵・胆管合流異常研究会の全国集計(2561例)のデータを中心に概説する.ほとんどの症例が有症状で,胆道癌の合併は成人では胆管拡張型21.6%,非拡張型42.4%と通常の1000~3000倍の高危険率となっている.外科治療において小児では胆管拡張の有無に関係なく分流手術が選択され,成人における癌非合併非拡張型症例においても3割以上に分流手術が選択されていた.本疾患は不明な点が多く,成人・非拡張型における分流手術の是非に関してもcontroversialである.今後,追跡調査を含めたさらなる病態解明の努力が必要である.