2012 年 53 巻 7 号 p. 698-704
神奈川若手血液研究会参加13施設で2000年から2008年の間に新たに診断されたt(8;21)を有する急性骨髄性白血病について治療成績を後方視的に検討した。症例は70例で,男性43例,女性27例,年齢中央値は48歳(17~76歳)。寛解導入療法後65例が完全寛解に到達した。第一寛解達成率は93%であった。第一寛解後に移植を行わず地固め化学療法のみの方針とした57例中27例(47%)が再発した。第一寛解から再発までの期間の中央値は307日(96~1,256日)であった。初診時白血球数>25,400/μlでは白血球≤25,400/μlと比較して高い再発率を認めた(75% vs 43%, P=0.04)。再寛解導入療法が施行された25例中19例(76%)に第二寛解が得られた。同種造血幹細胞移植は26例(第一寛解期5例,第二寛解期12例,非寛解期9例)に行われた。全症例での5年生存率は61%, 5年無病生存率は45%であった。t(8;21)を有する急性骨髄性白血病は寛解率が高いものの約半数が再発しており,その予後は必ずしも良好ではない。しかし,本検討では,第一寛解期での移植を推奨する明確な予後不良因子は示されなかった。