臨床血液
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症例報告
デフェラシロクス投与後血液学的改善を認めた抗胸腺細胞グロブリン再投与後の輸血依存性重症再生不良性貧血
定免 渉黒田 裕行山田 充子松野 鉄平佐藤 昌則安部 智之櫻井 環藤井 重之前田 征洋藤田 美悧長嶋 和郎井山 諭宮西 浩嗣小船 雅義加藤 淳二
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2013 年 54 巻 11 号 p. 2047-2052

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抄録

症例は62歳,男性。2010年4月に重症再生不良性貧血と診断し,ウサギ抗胸腺細胞グロブリン(rATG)とシクロスポリン(CsA)による免疫抑制療法(IST)を施行した。IST後輸血依存が持続したため,2011年5月にrATGを再投与したが引き続き輸血を要した。総赤血球輸血量は100単位を超え,輸血後鉄過剰症の診断で同年7月よりデフェラシロクス(DFX)による鉄キレート療法(ICT)を行った。DFX投与後に血清フェリチン値は低下し,赤血球および血小板輸血が不要となった。ICT前の骨髄生検では鉄過剰沈着を認め,酸化障害を反映する8-OHdG染色が強陽性であった。一方,ICT 1年後は骨髄での造血細胞は増加し,鉄沈着と酸化障害は消失した。本症例の経過から,IST不応性で輸血後鉄過剰症を伴う再生不良性貧血に対するDFX投与は造血回復に寄与する可能性が示唆された。

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© 2013 一般社団法人 日本血液学会
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