2013 年 54 巻 11 号 p. 2062-2067
症例は68歳男性。左背部痛,全身のリンパ節腫大が出現し入院。高カルシウム血症,抗HTLV-1抗体陽性を認めた。左頚部リンパ節生検では,中~大型のCD4陽性異型T細胞の他に,一部大型のEBER・CD20陽性B細胞を認めた。また,HTLV-1 proviral DNAのモノクローナルな組み込み,免疫グロブリンH鎖・T細胞受容体γ鎖遺伝子の再構成を同一リンパ節検体に認め,成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)とEBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の複合リンパ腫Composite lymphomaと診断した。リツキシマブを併用した化学療法で一旦寛解となったが,8ヶ月後に右肩痛が生じ,多発骨腫瘤と頚部リンパ節腫大を認めた。骨・リンパ節生検ではATLのみが再発していた。化学療法と放射線照射を施行したが,治療抵抗性となり死亡した。ATLによる免疫不全でEBV関連DLBCLが発症したことが示唆された。