2013 年 54 巻 3 号 p. 263-268
小児期に全身放射線照射(TBI)を含む前処置で造血幹細胞移植を受けた24例について,甲状腺触診と超音波検査を施行した。超音波検査で径1 cm以上の結節性病変を認めた例では,穿刺吸引細胞診を行った。腫瘤を触知した5例はいずれも径1 cm以上の結節性病変を認め,4例は腺腫様甲状腺腫,1例は甲状腺癌であった。腫瘤を触知しなかった19例の超音波検査所見は,結節性病変5例(腺腫様甲状腺腫1例を含む),嚢胞性病変6例,異常なし8例であった。結節性病変の有無と性,移植時年齢,移植後年数,原疾患,移植前処置,移植時病期,移植細胞,慢性GVHD, 性腺機能低下,甲状腺機能低下との間に有意な相関は見られなかった。放射線照射は二次性甲状腺癌のリスク因子であり,TBI施行例では定期的に甲状腺触診を行うとともに,超音波検査の組み入れを考慮することが必要であると考えられた。