2013 年 54 巻 4 号 p. 383-387
症例は2歳女児。髄外浸潤を伴うMLL遺伝子再構成陽性急性骨髄性白血病(AML)を発症した。MLL遺伝子の融合相手としてMLLT10を分離した。治療終了2ヵ月後に骨髄と中枢神経系の複合再発をきたし,再寛解導入療法を施行するも血球貪食症候群(HLH)と侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)を合併した。抗真菌剤投与で感染コントロール良好となってもHLHは改善せず,骨髄生検検体でMLL-MLLT10遺伝子が検出され,白血病幹細胞(LSC)の残存による腫瘍関連HLHと考えた。ゲムツズマブ・オゾガマイシンやソラフェニブを使用したが寛解は得られず,原疾患,HLH, IPAの悪化にて永眠した。AMLの再発は,LSCの特殊な分裂周期により従来の抗がん剤への抵抗性を示すことが要因とされる。本症例で様々な化学療法を用いても再寛解導入不応であったのはLSC残存の可能性が考えられた。今後LSCを標的とした治療の開発が望まれる。