2014 年 55 巻 2 号 p. 244-248
症例は58歳女性。右眼の原発性眼内悪性リンパ腫(PIOL)と診断され,methotrexate (MTX), procarbazine, vincristineによるMPV療法に加えて全脳と右眼に照射を行ったが4ヶ月後に右眼に再発。cytarabine, etoposide, rituximabによる救援療法およびMTXの眼内注射を行なった後,busulfanおよびmelphalanを前処置とした自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を施行し,その後1年以上にわたり明らかな再発はない。本症例ではMTXの眼内注射および自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を施行し,かつ白質脳症の悪化や認知機能に異常を来す事もなく経過している。再発PIOLの治療を考える上で貴重な症例と考えられた。