将来の航空交通管理 (ATM：Air Traffi c Management) の運用概念として，航空機の軌道 (トラジェクトリ) を計画し，それに基づいて運航する軌道ベース運用 (TBO：Trajectory Based Operation) が検討されている．航空機の軌道は，飛行中及び地上走行中の両方での三次元位置と時間を含む四次元の航空機の運動の記述である．軌道は，運航者の希望に基づき，気象条件など運航に影響する様々な要素を考慮して生成され，危険事象の回避などに対応して修正される．TBOにより，航空機の出発から到着までを全体的に管理することができ，CO2排出削減などの運航の効率性を向上することができる．本報告では，TBOの概要とCO2削減について述べる．初めに，航空機の運航とCO2排出について，航空機性能モデルにより説明する．次に，航空交通の技術の現状とCO2削減のための運用改善策を示す．最後に，TBOの概要と技術課題について述べる．
