分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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ダイオキシン類分析用模擬排水認証標準物質の開発
飯田 芳男村山 真理子沼田 雅彦高田 芳矩高菅 卓三浅田 正三松本 保輔石橋 耀一井垣 浩侑松村 徹鶴田 暁吉原 登小野 昭紘柿田 和俊坂田 衞
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2007 年 56 巻 8 号 p. 649-656

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抄録

日本分析化学会はダイオキシン類分析用模擬排水認証標準物質作製委員会を組織し,ポリクロロジベンゾ-p-ジオキシン(PCDD)7異性体,ポリクロロジベンゾフラン(PCDF)10異性体,PCDD•PCDFの四∼八塩素置換同族体10種及びダイオキシン様ポリクロロビフェニル(DL-PCB)12種の含有率を認証した模擬排水認証標準物質を開発した.この標準物質は,廃棄物焼却炉灰の微細化粉を市販加熱殺菌地下水に分散させたもので,容量3 Lのガラス瓶入り全内容物を1回で使い切ることを前提とすることにより認証値を保証するものである.この製造法の開発により,環境分析用としての水中のダイオキシン類含有率レベルの設計が任意となるものであり,その効果は極めて大きい.認証値は21試験機関の参加による共同実験結果から異常値を除去した後,統計的に処理してその不確かさとともに求めた.この認証標準物質のダイオキシン類合計濃度は,毒性当量(TEQ)にして46.5±1.9 pg L−1である.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2007
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