代表的な脂肪族系石油樹脂であるエスコレッツ1202を以下のマトリックスとトリフロロ酢酸銀を使用して，マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置で分析し，最適分析条件を求めた．試みたマトリックスはジトラノール，ピレン，trans,trans-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン，9-ニトロアントラセン，アントラセン，2,5-ジヒドロキシ安息香酸，レチノイン酸，3-インドールアクリル酸，2-（4-ヒドロキシフェニルアゾ）安息香酸であった．得られた質量スペクトルを解析し，最大ピークのS/Nを比較したところ，イオン化助剤なしで，アントラセンを使用した場合が最適な分析条件であることが分かった．また，その応用として，この分析条件で粘着テープの2-ブタノン抽出物を分析したところ，粘着テープに塗布されたゴム系粘着剤に脂肪族系石油樹脂が配合されていることが証明された．