2012 年 61 巻 3 号 p. 221-227
p-及びm-型の二種類のキシレン単位を介して二つのビピリジニウムを連結した環状化合物三種類(Cpp,Cpm,Cmm)と,これらと類似構造を有する非環状化合物二種類(ACp,ACm)をホストとして合成し,アセトニトリル中におけるゲスト分子との錯体形成挙動について分光光度計を用いて調べ,錯体形成に伴い出現する電荷移動吸収に着目することでナフタレンカルボン酸及びインドールへの分子認識特性について検討した.用いるホストとゲストの組合せにより出現する電荷移動吸収帯の大きさや形は異なり,極大波長が450 nm付近の場合,530 nm付近の場合,そして,吸収極大を示さない場合の三つに大別された.そこで,450 nmと530 nmの二つの波長において,ゲスト添加に伴う吸収変化量を解析することで,環状,及び非環状ビスビピリジニウム化合物の分子認識能について評価した.