2010 年 81 巻 4 号 p. 449-456
カンショ焼酎粕濃縮液(以下,濃縮液)の泌乳牛向け発酵混合飼料(発酵TMR)原料としての可能性を検討するため,ホルスタイン種泌乳牛4頭に濃縮液を20%(乾物ベース)含む発酵TMR(濃縮液区)あるいはこれを含まない発酵TMR(対照区)を給与した1期21日間の試験を行い,2期目には処理を反転した.加えて,発酵TMRの発酵品質を調査した.TMRの粗濃比,水分含量,可消化養分総量および粗タンパク質含量は両区でそろえた.濃縮液を添加した発酵TMRの発酵品質は良好であり,自由摂取量に差は見られなかった.濃縮液無添加の発酵TMRと比較すると,一日の反すう時間は低下したが,反すう胃内発酵環境や窒素出納に差は見られなかった.濃縮液のカリウム含量の高さから,濃縮液区の排尿量は対照区よりも高くなった.4%脂肪補正乳量に処理間差は見られなかった.以上の結果から,カンショ焼酎粕濃縮液は泌乳牛用発酵TMR原料として利用可能であることが示された.