臨床神経学
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総説
ニューロフェリチノパチーの臨床
太田 恵美子長坂 高村新藤 和雅当間 忍長坂 加織三輪 道然瀧山 嘉久塩澤 全司
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2009 年 49 巻 5 号 p. 254-261

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抄録

ニューロフェリチノパチーは,フェリチンL鎖遺伝子変異に起因する常染色体優性遺伝の神経疾患で,脳全体の広範な鉄,フェリチン沈着を特徴とする.6つの病因遺伝子変異が報告されており,そのうち1つは日本の家系での報告である.ジストニアと舞踏運動を主症状とするが,小脳症状や認知機能低下など,多彩な臨床像を呈する.頭部MRIでは鉄沈着を反映したT2強調画像,T2*強調画像低信号と,淡蒼球を中心とした嚢胞化が特徴的である.血清フェリチン低値もしばしばみられる所見である.ニューロフェリチノパチーは欧米を中心としたまれな疾患と考えられていたが,日本での症例が報告されたことで,日常臨床で鑑別すべき錐体外路系疾患の1つとして注目すべきと考えられた.

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© 2009 日本神経学会
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