臨床神経学
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症例報告
播種性骨髄癌症(骨髄癌腫症)にともなう硬膜血管のび漫性腫瘍塞栓によって硬膜肥厚を生じた1例―臨床病理学的検討―
丸田 恭子脇本 譲二園田 至人内田 裕一梅原 藤雄福永 秀敏
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2010 年 50 巻 4 号 p. 232-240

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抄録

症例は64歳,女性である.頭痛,嘔吐で発症し,1カ月後昏睡を呈した.一時的に意識は回復したが,ふたたび傾眠傾向を生じた.17年前に胃癌手術の既往がある.血清ALP,LDHが高く,血液凝固異常をみとめた.髄液の蛋白,細胞数,糖は増加していた.頭部MRIでは広範に肥厚した硬膜,脳浮腫,静脈洞の閉塞・狭窄をみとめ,胸・腰椎のMRI,67Gaシンチ検査で脊椎への腫瘍転移をうたがった.発症7週後に死亡した.病理解剖では肥厚した硬膜や肺の小血管内に多数の腫瘍塞栓が観察され,多発性骨転移もみとめられたが,原発巣は同定できなかった.硬膜肥厚を呈し,意識障害が急激に増悪したばあい,悪性腫瘍による硬膜血管のび漫性腫瘍塞栓も念頭に置く必要があると思われる.

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© 2010 日本神経学会
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