コンクリートの断熱温度上昇量の測定は多大な労力を要し,日常的な検査を実施するのが困難である。本報では,30mL程度のモルタルで簡便に断熱温度上昇量を評価できる断熱熱量計を用い,セメントの品質検査への適用性やコンクリートの品質予測方法について検討した。本手法では,試料が極めて少量でありながら,モルタル試料間の断熱温度上昇特性の相違を精度良く評価できる。また,熱収支を考慮することで,コンクリートとしての品質も評価可能であることがわかった。さらに,本手法を数種の試製セメントに適用し,セメントの間隙相量やセッコウ量,高炉スラグ微粉末の置換が断熱温度上昇量に及ぼす影響を調査した。