日本薬理学雑誌
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ミニ総説号 「抗肥満症をめざした創薬: 過去、現在、未来への展望」
生薬および関連代謝調節薬
奥田 拓道韓 立坤
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2001 年 118 巻 5 号 p. 347-351

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抄録

肥満症だけでなく, 単純肥満も含めた抗肥満をめざす創薬について考察した. 脂肪細胞における脂肪の合成が分解を上回ることによって, 脂肪の蓄積が進み, 肥満になることに基づいて, 脂肪合成を低下させる機能物質を探索することにした. 脂肪合成には, グルコース経路とリポタンパク経路があるが, 脂肪細胞へのグルコースの取り込みは, インスリンによってコントロールされているのに対し, リポタンパク由来の脂肪酸の取り込みは, ホルモンの制御を受けない. また, リポタンパクの中で, 食事を通じてコントロールできるのはカイロミクロンである. そこで, 食事中の脂肪の腸管吸収を阻害することにより, カイロミクロンを低下させ, 肥満を予防するという戦略を立てたのである. その結果, 食事中の脂肪の膵リパーゼによる分解を阻害する茶サポニン, キトサン, コンドロイチン硫酸, 脂肪酸の吸収も阻害するコンドロイチン硫酸, ベーターモノグリセリドの吸収を阻害する乳化オリゴ糖などがカイロミクロンを低下させ, 高脂肪食によって誘導される肥満を予防することが明らかになった.

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