日本薬理学雑誌
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ミニ総説号「カルシウムチャネル研究の新たなる展開」
IP3レセプター
御子柴 克彦
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2003 年 121 巻 4 号 p. 241-253

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抄録

IP3レセプターは細胞内Ca2+貯蔵庫からCa2+を放出するチャネルであり,低頻度で細胞内におきるCa2+振動をひきおこす重要な分子である.細胞膜のチャネルと比べて,1)トリプシンで数個の断片に分かれてもIP3結合能とCa2+放出能は維持されており,2)IP3結合部位に天然のIP3レセプターよりも500倍以上も高い親和性を有する結合ドメインがある,3)量子的Ca2+放出能を有する,4)カルモジュリンにより高濃度Ca2+存在下で不活化される,5)IP3レセプターは細胞膜Ca2+チャネルと直接結合している,等のユニークな性質を有していることが明らかになった.小脳に豊富にあるリン酸化をうける糖タンパク質であるP400がIP3レセプターであるという発見の経緯からも明らかなように,IP3レセプターは受精現象,背腹軸の決定や高次脳機能に深くかかわっていた.IP3レセプター欠損マウスはてんかんと小脳失調の複合症状を呈していた.

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© 2003 公益社団法人 日本薬理学会
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