日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
実験技術
タンパク質セラピー法:Poly-Arginineによる非ウイルス的タンパク質細胞内導入と細胞内微小環境への局在化法
松井 秀樹富澤 一仁松下 正之
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 121 巻 6 号 p. 435-439

詳細
抄録

タンパク質導入法はProtein Transduction domain(PTD)と呼ばれるペプチドをタンパク質などの高分子に結合させることにより,目的のタンパク質を細胞内に導入する方法である.PTDのアミノ酸配列はHIVのTATタンパク質,HSVのVP-22タンパク質の細胞膜通過ドメインを用いたものが開発されてきた.最近,新しくいくつかのPTDが開発され,実験レベルあるいは臨床レベルで応用されつつある.私達は11個のアルギニン(11R)によるPTDが導入効率の面から優れている事を発見し,11Rを用いたタンパク質導入法と細胞内小器官などへの局在化による細胞内情報伝達制御法を開発している.この導入ドメインを用いてタンパク質のみでなく,様々な高分子を細胞内に導入できる事が明らかとなり,新たな実験ツールや臨床応用できる薬剤の開発が期待されている.

著者関連情報
© 2003 公益社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top