日本薬理学雑誌
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治療薬シリーズ(9)疼痛
疼痛治療薬の基礎
─痛みの基礎および新規疼痛ターゲット
砥出 勝雄
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2006 年 128 巻 5 号 p. 321-325

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抄録

痛みの種類は炎症性疼痛,侵害受容性疼痛および神経因性疼痛など急性痛から難治性の慢性痛まで多種多様である.現在,それぞれの治療薬として非ステロイド性鎮痛薬,非麻薬性鎮痛薬や麻薬性鎮痛薬,抗てんかん薬や抗鬱薬などが用いられている.炎症性疼痛や侵害受容性疼痛は治療法がほぼ確立しているといっても過言ではないが,神経因性疼痛などの慢性痛においては病態発症機構の解明が進んでいるものの有効な治療薬の開発はやっとその途についたばかりである.それゆえ慢性痛の病態解明や治療法の確立は急務である.近年,疼痛に関する基礎研究は大きく進歩し,末梢組織,後根神経節,脊髄後角さらに脳などで痛みに深く関わるタ-ゲット分子が多数発見され,それらの疼痛発症機構に関する研究に加え,各疼痛ターゲットに種々の動物モデルを用いた創薬研究が展開されている.

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© 2006 公益社団法人 日本薬理学会
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