日本薬理学雑誌
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治療薬シリーズ(5) 糖尿病
糖尿病治療薬の基礎
―糖尿病モデル動物と糖尿病治療薬の開発―
武内 浩二鈴木 伸宏小高 裕之
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2006 年 128 巻 1 号 p. 37-41

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抄録

糖尿病の大部分は遺伝的素因に環境因子が加わることによって発症し,その病態は膵のインスリン分泌不全に標的組織のインスリン抵抗性が加わった状態,あるいはいずれかが特に重症化した状態として認められる.糖尿病モデル動物は,このような糖尿病の代謝内分泌異常の理解に有益な知見を提供してきたのみならず治療薬の開発にも貢献してきた.現在臨床の場で使用されている,αグルコシダーゼ阻害薬,インスリン抵抗性改善薬,速効性インスリン分泌促進薬,GLP-1誘導体などの糖尿病治療薬は,動物モデルにおいて有効性が確認され,実際臨床の場においてその薬効は証明されてきた.今後は,新規作用メカニズムをもつ薬剤の評価にふさわしい新たなモデル動物の作成,特に発生工学的手法を用いた糖尿病モデル動物の作成および血管合併症モデル動物の作成が重要になるであろう.

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© 2006 公益社団法人 日本薬理学会
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