2007 年 129 巻 3 号 p. 177-181
関節リウマチなど複雑な免疫系疾患の病因・病態の理解が深まる中で,TNFαをターゲットとする生物学的製剤の開発により,関節リウマチの症状改善に加えて関節破壊の進展を制御することも可能となってきた.生物学的製剤に関しては,TNFαなどの炎症性サイトカインをターゲットとするアプローチに加えて,B細胞表面の機能分子などを標的とする創薬展開も活発になっている.CD20分子に対する抗体リツキシマブは,B細胞除去作用により関節リウマチに対して治療効果を発揮し臨床応用されている.一方で,シグナル伝達系や病態形成のパスウェイの解明により,炎症反応にかかわる機能分子を特異的に修飾する経口投与可能な分子ターゲット医薬品の開発も進んでいる.その代表格のp38阻害薬では関節リウマチに対する臨床効果も認められており,今後,免疫難病に対する治療薬の選択肢が益々充実してくるものと期待される.