日本薬理学雑誌
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治療薬シリーズ(11)不眠症
不眠症治療薬開発の最前線
寺尾 晶宮本 政臣
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2007 年 129 巻 1 号 p. 35-41

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抄録

本稿では不眠症治療薬として日本で未発売の新薬および開発中の新薬候補化合物について,創薬ターゲット別にその特徴と海外での臨床開発状況を概説する.現在,不眠症治療薬の主流は,ゴールドスタンダードとして位置付けられているゾルピデムなどのGABA-A受容体をターゲットにした非ベンゾジアゼピン系誘導体である.それらは作用持続が短く入眠効果には優れるが睡眠維持作用はなく,種々の副作用を誘発することから,1)製剤面,2)サブタイプ選択性においてGABA-A受容体作動薬の更なる改良が進行中である.一方,従来の不眠症治療薬が鎮静型睡眠をもたらすのに対して,生理的睡眠を誘発する不眠症治療薬:ラメルテオンが武田薬品から昨年米国で発売されたが,この薬剤は3)メラトニンMT1/MT2受容体作動薬であり,新機序不眠症治療薬開発の筆頭に挙げる事ができよう.更にこれに続くものとして睡眠・覚醒調節に重要な神経伝達物質を創薬ターゲットとした4)ヒスタミンH1受容体拮抗薬/逆作動薬,5)セロトニン(5-HT)2A受容体拮抗薬/逆作動薬,6)オレキシン受容体拮抗薬があるが,現在いずれも活発な研究開発が進行中なため,今後の進展が注目される.

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