日本薬理学雑誌
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治療薬シリーズ(20)慢性動脈閉塞症
慢性動脈閉塞症治療薬の基礎
高橋 健三
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2007 年 130 巻 5 号 p. 393-397

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抄録

閉塞性動脈硬化症(ASO)は動脈硬化により四肢末梢動脈が慢性的に狭窄・閉塞したために循環障害を来した病態であり,冷感,間歇性跛行,安静時疼痛,潰瘍・壊死などの虚血性の臨床症状を示す.既存の治療薬は抗血小板作用や血管拡張作用などにより虚血肢の末梢循環を改善し,一定の治療効果を示している.しかし,最も多い症状である間歇性跛行に対する明確な有効性を示す薬物は少なく,わが国ではその臨床効果も検証されていない.現在,既存薬の改良型や新規作用メカニズムの薬剤の開発が進められており,動物での薬効評価には下肢虚血モデルでの歩行障害も導入されてきている.また,血管新生療法の研究から治療薬の新しいターゲットもクローズアップされてきている.ASOは潜在患者数と治療薬の完成度から考えると,重要な領域の一つであり,より優れた治療薬の開発が期待される.

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© 2007 公益社団法人 日本薬理学会
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