2008 年 131 巻 2 号 p. 89-91
生活習慣の欧米化と人口の高齢化は,糖尿病人口を増大させるのみならず,動脈硬化性疾患などの合併症を増加させて,日本人の生命予後を脅かしている.動脈硬化巣ではコレステロールエステルの蓄積を中心として,種々の細胞群の病的反応像を認めるが,コレステロールエステル蓄積こそ粥状動脈硬化症の特徴と考えられる.粥状動脈硬化症の成因論として反応障害説が知られているが,これは血管壁における内皮細胞障害に反応して,PDGFなどの生理活性物質が放出され,血管壁構成細胞の病的反応を惹起し,初期病変を形成するという説である.