日本薬理学雑誌
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治療薬シリーズ(27) 腎疾患治療薬
動物モデル 糸球体腎炎モデルの現状と展望
永松 正
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キーワード: 腎炎, ラット, マウス
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2008 年 132 巻 2 号 p. 96-99

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抄録

抗GBM腎炎は糸球体基底膜に対する抗体により惹起されるラットモデルで,糸球体腎炎の発症進展に関する研究はこのモデルから始まったと言える.Heymann腎炎,抗Thy1腎炎はそれぞれ尿細管刷子縁膜やメサンギウム細胞に局在する抗原に対する抗体によって惹起される.BSA腎炎は外来抗原とその抗体によって惹起される腎炎である.HIGAマウスはIgA腎症のモデルで,NZB/W F1マウスやMRL/lprマウスはループス腎炎の自然発症腎炎モデルである.これらの腎炎モデルを用いて病態の解明や薬理学的研究がなされてきた.近年,分子生物学の発展とともに,遺伝子改変モデルを用いて抗GBM腎炎やループス腎炎の発症進展を調べたり,これらのモデルのgene chipやプロテオーム解析により,従来の研究で得られてきた腎炎の発症・進展因子に関する情報が分子レベル,遺伝子レベルで研究できるようになった.

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© 2008 公益社団法人 日本薬理学会
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