2010 年 136 巻 6 号 p. 344-347
NKT細胞は抗原提示細胞上のCD1d分子に提示された外来性抗原である糖脂質,α-ガラクトシルセラミド(αGalCer)を認識し活性化する.活性化したNKT細胞はがん転移モデルにおいて強力な抗腫瘍効果を示すことから,ヒト担がん状態においても内在性NKT細胞の活性化により強力な抗腫瘍効果を発揮することが期待される.これらのことから内在性のNKT細胞活性化を目指すαGalCerパルス樹状細胞療法およびin vitroでNKT細胞を活性化し投与する活性化NKT細胞療法,さらには両者を組み合わせた複合免疫療法を臨床研究として施行している.原発性肺癌および頭頸部癌に対して現在までに報告してきた,NKT細胞を標的とした免疫細胞療法の安全性,NKT細胞特異的免疫学的解析結果さらには臨床効果につき概説する.