中年から壮年期を中心に,動脈硬化性疾患の危険因子については,評価・管理についての見解はほぼ一致している.一方,高齢者,特に80歳以上に関する危険因子の検討は少なく,その意義についても全てが明らかにされているわけではない.近年,頸動脈エコーや脈波速度(PWV)などの非侵襲的検査法を広く健診に取り入れ,高齢者での検討も可能になってきている.我々も,高感度CRPを含む各種危険因子と頸動脈内膜中膜複合体壁厚Intima-Media Thickness(IMT),あるいはPWVと生命・機能予後との関連などについて,地域在住高齢者を中心に,特に80歳以上での危険因子の評価と意義について検討しており,その結果を含めて概説する.