2005 年 45 巻 7 号 p. 805-809
肺癌に対する気管支形成術は肺機能の温存と根治性の両立をめざした手術である. 根治性を損なわず, かつ安全に気管支形成術を遂行するためのポイントは, 良好な吻合を完成する手技と術中迅速組織診の活用による根治性の確認に集約される. 良好な吻合形成のためには吻合部の血流の維持と緊張の緩和がなにより重要である. 気管支形成を用いた肺葉切除術の手術適応は, 肺全摘術の適応とオーバーラップするため, 根治性に関しては肺全摘術の切除成績との比較で論じられることが多いが, 前向きの比較試験の報告はない. 本稿では安全な吻合を完成するための手技を中心に解説し, 気管支形成術の根治性と安全性を肺全摘術と比較しながら概説した.