肺癌
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症例
多発性肺転移を伴う下顎骨ameloblastomaの1例
澤住 知枝相坂 治彦北田 順也高橋 弘毅阿部 庄作
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2007 年 47 巻 2 号 p. 143-147

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抄録

背景.ameloblastoma(エナメル上皮腫)は歯原性腫瘍の1つに分類され,良性腫瘍が大部分であり,悪性腫瘍や他臓器への遠隔転移は非常に稀であると言われている.多発性肺転移を伴う下顎骨ameloblastomaの1例を報告する.症例.65歳女性,既往歴として1965年8月,下顎骨ameloblastomaにて腫瘍摘出術施行された.1987年12月,胸部異常影にて当院受診し,胸部X線写真上両側全肺野に多発性結節影が認められた.精査されるも確定診断に至らず,その後著変なく経過していたが,2002年9月下旬より喀血出現したため10月上旬当院受診,入院となった.胸部画像所見上多発性結節影の増大が認められたため,診断確定目的に同年11月上旬胸腔鏡下右肺下葉S9部分切除施行された.術後病理組織診にてmetastatic ameloblastomaと診断され,既往にあった下顎骨ameloblastomaの肺転移によるものと考えられた.結論.ameloblastomaの肺転移は,原発巣摘出後10年以上の経過を経て発症することが多く,本症例は発症後,さらに15年以上の経過を観察できた大変貴重な症例と考えられる.

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© 2007 日本肺癌学会
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