背景．髄膜癌腫症をきたした肺癌は予後不良であり，予後を改善する治療法の確立が必要である．髄膜癌腫症に対しGefitinibならびにErlotinibが有効との報告があるも，Gefitinib投与後にErlotinibが有効であった報告はみとめない．症例1．70歳，女性．肺腺癌，病理病期IIIB期の術後再発に対するGefitinib投与中に副腎転移，脳転移をきたした．Carboplatin+Paclitaxelによる化学療法を施行したが，脳転移巣が増悪し，髄膜癌腫症を呈した．症例2．58歳，女性．肺腺癌，病理病期IIIB期の術後再発に対するGefitinib投与中に胸膜転移と髄膜癌腫症を呈した．結果．症例1，2ともEGFR遺伝子変異を有し，Erlotinibで自覚症状と画像所見の改善を示した.結論．EGFR遺伝子変異を有する肺癌による髄膜癌腫症の治療として，Erlotinibが有効であることが示唆された.
