高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
半側空間無視患者における音の方向感検査所見とBIT行動性無視検査所見との関係
砂原 伸行能登谷 晶子
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2005 年 25 巻 4 号 p. 306-313

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抄録

右半球損傷後の左半側空間無視36例に対し, 聴覚課題として音の方向感検査 (リオン製AA-75) を実施し, その検査成績と半側空間無視の重症度, すなわち視覚課題での障害の重症度との関係を検討した。音の方向感検査では左右の時間差音像移動弁別閾値を測定したうえで, 右の閾値を基準とした場合の左の閾値の増大率 (閾値の左右比) を算出し, 検査での障害の重症度とした。この左右比とBIT行動性無視検査結果との関連を調べた。その結果, 閾値の左右比とBIT通常検査合計点および行動検査合計点のいずれとの間にも有意な相関はなかった。以上より, 半側空間無視例では聴覚課題と視覚課題での障害の重症度は必ずしも一致しないことがわかった。この事実は与えられる感覚モダリティの違いにより, その障害の程度が異なるUSN例が存在するという, 臨床上の印象を裏付けるものと考えられた。

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© 2005 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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