園芸学研究
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土壌管理・施肥・灌水
乾燥ストレス下におけるブルーベリー葉の水ポテンシャルおよび光合成特性
堀内 尚美亀有 直子車 敬愛鈴木 栄平沢 正荻原 勲
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2011 年 10 巻 4 号 p. 485-490

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抄録

ブルーベリー‘Tifblue’を供試し,土壌が湿潤な状態から葉の光合成速度が著しく低下するまで徐々に乾燥ストレスを与え,その後再び灌水したときの葉の水ポテンシャル,光合成速度,果実肥大の推移を,着果樹と無着果樹とで比較した.土壌含水率の低下に伴い,葉の水ポテンシャルと光合成速度が低下した.葉の水ポテンシャルが約−3.5 MPaで土壌含水率が約8%のとき,果実全てが萎れ,新梢全体が垂れ,葉の光合成はほぼ停止状態であった.着果樹の葉の水ポテンシャルおよび光合成速度の低下は,無着果樹よりも早くおこった.再灌水を行ったところ,乾燥区の葉の水ポテンシャルは再灌水後1日目で高くなったが,対照区と同じ程度までは回復しなかった.再灌水後の乾燥区の光合成速度は対照区の1/2程度であり,着果樹では無着果樹より回復が遅かった.したがって,光合成機能の回復臨界点からの灌水の目安は,葉の水ポテンシャルが−3~−3.5 MPaになる前であること,着果は乾燥ストレスを助長することが分かった.

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© 2011 園芸学会
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