園芸学研究
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原著論文
モモ溶液受粉のための液体増量剤へのPMEまたはPGの添加が結実に及ぼす影響
阪本 大輔羽山 裕子伊東 明子樫村 芳記森口 卓哉中村 ゆり
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キーワード: 人工受粉, 花粉管伸長, 結実
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2008 年 7 巻 4 号 p. 525-530

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抄録

モモの溶液受粉における花粉懸濁液の開発を目指して,花粉懸濁液へのペクチンメチルエステラーゼ(PME)またはポリガラクツロナーゼ(PG)の添加について好適な濃度の探索ならびに増粘剤を組み合わせた花粉懸濁液が結実および果実品質に及ぼす影響の調査を行った.その結果,0.1 mg・L−1のPMEまたはPGを添加した花粉懸濁液で花粉管伸長量が最も増大することが認められた.これらの結果を踏まえて,‘川中島白桃’を用いて溶液受粉を実施した結果,溶液受粉区は慣行受粉区に比べて結実率は低いものの,花粉懸濁液にPMEまたはPGを添加することで懸濁された花粉の花粉管伸長能が高く維持され,結実率が向上した.さらに,増粘剤としてキサンタンガム(XG)の添加効果も確かめられた.また,溶液受粉や溶液の組成は果実品質に影響を及ぼさなかった.以上のように,XGを増粘剤とし,PMEまたはPGを添加した花粉懸濁液を用いることで,モモにおける溶液受粉の結実率を改善することが可能であった.

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© 2008 園芸学会
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