2010 年 9 巻 3 号 p. 273-277
ナスの促成栽培において,収量性が高い単為結果性品種を育成するため,非単為結果性品種‘筑陽’および‘黒陽’を種子親,単為結果性固定系統AE-P03およびAE-P05を花粉親としたF1を葯培養して得られた倍加半数体(DH)系統を用いて,単為結果性と収量および収量関連形質との関係について検討した.単為結果性DH系統は非単為結果性DH系統と比較して,開花数および正常肥大果率に差はなかったものの,着果率が低く,収穫果数および収量が低かった.特に,単為結果性の有無による着果率の差は収穫最盛期である4~6月が最も大きかった.これらのことから,単為結果性を有し収量性が優れたナス品種を育成するに当たっては,雑種強勢を利用し担果力を増大させることができるF1組合せの検索が重要であると考えられた.