医療と社会
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研究ノート
医薬品産業における研究開発に適合的な組織行動とHRM
松山 一紀
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2010 年 20 巻 3 号 p. 223-237

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抄録

本研究の目的は,医薬品産業における研究開発に適合的な従業員の組織行動と,それを促進する人的資源管理(human resource management:HRM)を明らかにすることにある。これまで,医薬品産業の研究開発に関する先行研究は多く認められるものの,研究開発に従事する研究人材や人的資源管理に関する研究はほとんど見られない。そこで本研究では探索的に,革新的な組織成果を導き出す研究開発戦略セット,人材マネジメントセットおよび研究者の組織行動セットを明らかにしていく。また同時に,医薬品産業に特有な戦略や人材マネジメント,および組織行動が存在するか否かを確認する。
東証一部に上場している製造業企業700社を対象として調査を実施したところ,革新的な研究開発成果を導き出すのは,開発戦略においては「革新・品質戦略」,人材マネジメントにおいては「透明・公平なHRM」,そして組織行動においては「自立的行動」であることが明らかとなった。また,これらの間の適合性についても分析したところ,研究開発戦略と組織行動が適合的であるほど,革新的な成果が導かれる傾向にあることが示唆された。最後に,医薬品産業に固有の特徴としてバイオ戦略,革新的な報酬施策が抽出された。

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© 2010 公益財団法人 医療科学研究所
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