2010 年 20 巻 1 号 p. 73-85
DPCデータからどのような診療プロセスの分析が可能か,大腸(上行結腸からS状結腸)の悪性腫瘍の手術症例(DPC 060035xx0100xx)を例として一連の分析を行った。様式1からは年齢,性別等の従来的な疫学的分析のほか,術前・術後の在院日数,癌のステージと手術手技,病変部位と手術手技の分析が可能であった。診療内容を記述したEファイル,Fファイルからは,手術手技ごとの周術期の抗菌剤の使用状況,麻酔時間,輸血量の分析が可能であった。DPCデータは検査値や画像所見等は持たず,長期的な予後についての情報も持たないが,診療プロセスの詳細な分析が可能であり,大規模臨床研究の基盤としても利用可能なことが示唆された。